2014/12/08

映画をみる『アナと雪の女王』

 原題"Frozen"
 邦題『アナと雪の女王』
感想と紹介

劇場ポスター

この映画でアナとエルサのかわいさ美しさを味わいつくそう。





今記事の流れは?
・あらすじ
・ストーリー
・キャラクター
・映像
・まとめ

『アナと雪の女王』文句なしの大ヒット。各所にさんざん感想・批評が溢れかえっていることでしょう。わざわざ自分の感想を垂れ流す必要は?ない。けど感想が言いたいもんは言いたいのよ。というわけでありのままに記していきましょう。


あらすじ

ウェーゼルトン「エルサは魔法が使えるから魔女だ!悪魔だ!」

エルサ「みんなが怖がるから雪山に逃げるしかない」

アナ「エルサ!あなたが起こした吹雪を鎮めて」

エルサ「近寄らないで!あなたを凍らせてしまうわ」

アナ「本当に凍っちゃいそう」

エルサ「私のせいで……ごめんなさい!」

アナ「治ったわ。家族の愛は真実の愛」

お わ り


ストーリー

今作のストーリーはテンプレートのようでテンプートでない。おとぎ話メタとでも言いましょうか。読み説いてみると中々楽しい。主要キャラたるアナとエルサは特にその傾向が強いですね。

話を簡潔にするため、おとぎ話のテンプレートを大雑把に
「姫さまが悪い奴に悪いことされちゃったー。たいへんだー王子さまたすけてー」
「ハーイぼく王子!姫を助けて悪い奴もやっつけちゃうよ!」
「私姫、すてきよ王子さま、付き合いましょう」


1.姫さま王子さま

今作における姫役は誰でしょうか?アナとエルサ、二人いますね。では王子役は誰でしょうか?うーん……アナかな?そうなんです、主要キャラクターたるアナとエルサは二人とも姫役であり、王子役もやってしまっています。

三つ編み姉妹

アナはエルサを連れ戻しに旅立つ点で王子役といえます。しかし終盤では逆に助けが必要になり、姫役となります。この役割変化は作中でもハッキリと描写されていますね。分かりやすいのは<真実の愛のキスがいる>という流れ。

真実の愛のキス。超がつくほど典型的おとぎ話ネタ。かえるの王様、白雪姫、その他もろもろ。アナが自らこれを求めるのは今までの姫役に対する皮肉にも思える。しかし、作中で真実の愛のキスがされることはありませんでした。

キスの代わりにアナを救ったのは、姉たるエルサの抱擁です。ある意味ではアナのみならずエルサも王子役といえるかもしれません。

(そもそも姫役とか王子役とか、そんなくくりで語るべきではなさげ。が、ここは話をわかりやすくするためです。ごめんね)

おとぎ話メタなストーリー構造、姫が王子で王子が姫で……自分みたいなひねくれた人間にはとても面白い内容です。

ただ問題が一つ。このストーリー構造のために終盤がやや物足りない。

アナは前述したように、真実の愛のキスを求めます。そこで動くのが主要キャラの1人クリストフ青年。中盤~終盤は真実の愛の事がしょっちゅう話題に出て、アナとクリストフが中心に映る。終盤は二人が出会えるか否か!と手に汗握る具合。

これがなんと会えない!こっちは2人がキスする展開を頭に思い描いていたけど、見せつけられたのは間に合わなかったクリストフと、凍りついたアナ。そして泣き崩れるエルサ。ここでキスの代わりにアナを救ったのが、既に話したエルサの抱擁。

つまり、クリストフ青年の活躍は実を結ばなかった。彼の活躍は間接的にはアナを救うを手助けをしますが、直接にはならず。予想を裏切るあっと驚く展開?あーそういう言い方もありますが。私の場合はこう言いましょう<肩すかしな展開>

ただ姉妹愛(家族愛)の表現としてはこの上ないラストですよ。詳しくは書きませんが、アナとエルサがお互いをよーく愛し合っている、その象徴といえるラスト。肩すかしとは書きましたが、気にいっています。マジで、好きです。


2.魔女の不在

今作には毒りんごを作る魔女も、招待状を欲しがった魔女も、ワンちゃんを毛皮にしたがる貴婦人も出てきません。いるのは悩み多き少女のエルサだけ。

エルサは生まれながらに氷の力を使えます。そのせいでトラブルを起こして一度は雪山に引きこもることになりました。特殊な力をもつ女が人里離れた山に潜む……なんとまあ絵に描いたような魔女、悪役ですこと。

しかしエルサは魔女ではない。正確にいえば<魔女にならなかった>彼女が悪の道に突き進む可能性は至る所にちりばめられていましたが、ことごとく妹のアナが蹴飛ばしてくれたんです。

エルサを端的に表すと<悪役にならなかった悪役>でしょうか。彼女の境遇はあきらかに悪役としての下準備が済んでいました。アナがいなければ確実に悪役……まさしく雪の女王になっていたでしょう。企画当初は悪役する予定だったとか。

もしエルサが悪役になっていたら……?

ところで『オズ はじまりの戦い』という映画をご存じでしょうか?『オズの魔法使い』の前日譚を描いた話です。オズの魔法使いには西の魔女という悪役が登場します。はじまりの戦いでは西の魔女の、まだ清かった頃が描きだされます。

今作のエルサは、ちょうどこの西の魔女にあたります。エルサは一歩間違えればあのグリーン肌の魔女みたくなっていたかもしれないわけです。しかしならない。雪の女王は生まれなかった。悪い奴は生まれなかった。これもおとぎ話メタの一種。

ストーリーで注目するべきところはざっと見てこういう感じ。
次いってみよう。


キャラクター

主要キャラクターはアナ、エルサ、クリストフ、オラフ、ハンス。うちハンスは事実上今作の悪役なのですが……とにかく順に書いていきましょう。

1.アナ

1人目の主人公であり1人目のディズニープリンセス。エルサの妹。活発な娘。今作の「姫を救うのに王子はいらねえ!」感を的確に体現してみせているキャラ。実際よく動きます。飾り気のなさ、こびない可愛さが光る。

まだ今作を観ていない人はアナを観るためだけに挑戦してみてもいいでしょう。


2.エルサ

2人目の主人公であり2人目のディズニープリンセス。アナの姉。おとなしい娘ですが途中はじける。ストーリー最重要キャラ。氷の力に関してはマーヴルヒーローとタメを張れそう。

さて、ここではエルサの鼻の話をしましょう。

エルサは鼻が大きい。見るからに団子鼻で、アナと並ぶことの多い序盤では特に目立つ。その団子鼻がエルサの全体像に違和感を生み出しています。違和感のせいで中盤まではアナのほうがかわいく見えます。

が、これはあくまで中盤までの話。具体的には、エルサがおとしやかに髪をまとめてお堅く着飾っているまで。中盤、あの腐るほど巷で流れたLet it goのメロディに合わせて彼女は自分を解き放ちます。髪を下ろして服も派手なドレスに。

このときエルサにつきまとっていた違和感が綺麗サッパリなくなる!髪を下ろすと団子鼻が完璧に顔に調和。髪を下ろした瞬間に消える違和感はなんとも気持ちよい。Let it goの盛り上がりと重なり、エルサの解放感を極限まで追体験できます。

まさか団子鼻がここまで劇的な仕掛けだったとは予想外。ディズニーがそれを狙っていたのかは定かではありませんが、いずれにしろ素晴らしい。みなさん、鼻ひとつで奇跡をおこせるんですよ?


3.クリストフ

主要キャラで、王子さま……になれなかったキャラ。とても親しみやすいよい男。ツッコミ役に近い役回り。さらに主要キャラの中では一番はやく画面に映ります。

クリストフの仕事は言葉では明言されません。しかし映像によると、北の土地で氷を切り取って南へ売りに出ている種族の一員と読み取れます。冒頭ミュージカルFrozen heartでそれが分かります。

このFrozen Heartシーン、一見ムダなシーンに見えますね。なにせこれ以降、氷売りはクリストフの他に一切出てきません。もちろん話に絡んでくるはずもありません。ところがこのシーンには重要な2つの役割があります。

1つ、序盤の盛り上げ。そもそも今作のOPはノルウェーの聖歌から始まります。神聖でおだやかでよい曲ですが盛り上がりに欠けます。しかし観客を引き放すわけにはいかない!そこで勇ましくてノリノリになれるこの曲の出番。最高。

2つ、氷売りの説明。これ以降はクリストフしか出てこないし、クリストフも自身の話をほとんどしない。つまりこのシーンがないとクリストフが何者なのか分からなくなってしまうんです。

もちろんストーリーの途中で説明を挟んでもいいでしょう。が、テンポが悪くなるでしょうし、アナエル姉妹のストーリーの途中でクリストフがいきなり自己紹介を始めてはヘンテコです。というわけでこの曲に説明をゆだねたという寸法。

クリストフの話じゃなくなってしまいしたね。


4.オラフ

今作のマスコット。生ける雪だるま。それだけ。


5.ハンス

あーハンス。なんとも言えないキャラです。いちおう今作の悪役。王位継承のために本性を隠してアナと仲良くなろうとした男。ですが悪役感がヒジョーに薄い。終盤までまったく素顔を見せないんですから。

私自身の感覚としては<悪役は悪役らしく>してほしい。その点ハンスは魅力が薄い。ハンスが素顔を見せないのにはきちんとした理由があるそうです。それでも魅力を感じないったら感じないの!

(実を言うとハンスの設定を知ったときはハーン!と膝を打ちました。気になる人は調べてみましょう)

とはいえハンス、作中では少しだけ悪役としての顔をみせてくれるシーンが2つあります。

1つ、雪山へ向かったアナの乗っていた馬が街に戻ってきたとき。ハンスは馬をなだめて雪山を眺める。不安げな顔?いや、笑みを抑えているような微妙な複雑な顔をしています。ただかなり曖昧な顔なので、もしかしたら深い意味はないのかも。

2つ、氷の城でボウガン兵がエルサを射ようとしたとき。ハンスはボウガン兵の狙いをそらしてやるも矢が天井のシャンデリアを射抜いてエルサに落下していく(間一髪当たらない)。このときハンスの目線に注目<ボウガン兵→天井>へと移る。

2つ目のシーンに関してはほんの数フレームながら誰がみても明らかです。このシャンデリアシーンは偶然ではなかった。ハンスは明らかに狙ってやった。そしてこのシーンが個人的に彼の悪役らしさを一番垣間見えるシーンでした。


映像

映像は美しいです。3DCGの進化は目覚ましいですね。特に布、雪の描写。エルサが身に着けていたマントなんてまあ布地のキメ細かいこと。

また積雪もよい。本当に粒子が集まってできたかのようなサラサラ感のある雪はたまりません。流氷のシーンも細かい氷片の浮かんでいる感じといったら。

次は動きの話をしましょう。どのキャラもよく動いてアクションシーンもしてくれます。アクションシーンは少なめながら小粒な出来栄え。中身は濃すぎず浅すぎず、ほどよい緊迫感で楽しませてくれます。

例えばハンスが雪の怪物の足を真っ二つにするシーン。ハンスの一刀両断はわずか数秒ですが、剣を振りかぶって振り下ろすまでの具合は、力強さと重みが目に見えるよう。エルサの氷を使う戦いも鮮やか。

アクションシーンで大活躍のマシュマロウ


まとめ

おとぎ話メタなストーリーにニヤリとしつつ、アナとエルサのかわいさを楽しむ。それが今作『アナと雪の女王』ですが、もちろんいつも通りのディズニー映画としても楽しめます。まだ観たことがない人はBDを買いましょう。もう観た人もBDを買いましょう。

ではさようなら。

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